プライズゲームの「確率機」とかいうアレ

わたくしいわゆるゲームセンターの店員なんですが、こないだ割と驚いた事があって。
クレーンゲームを遊ばれてたお客様に呼ばれたのですが、
「○○円使ったんですけど、天井ないんですか!?」
と仰られまして。ちょっとこう……考える所がありました。

一応結論から申し上げますと、そんなものないです。
(少なくとも、うちのお店では)

「確率機が~……」という言葉をたまによく聴きますけども、
あれいつも思うんですが、どこ発信なんすかね?ユーチューバー??どの辺までちゃんと説明してるんでしょうね。
発信が半端だから悪いのか、受け手の方がちゃんと理解されてないのかは知らんのですが、ずいぶん何というか、妙な思い込みがあるのはちょっと困るなー、と常々思っております。

まず、そういう訳でたまに用いられる「確率機」という言葉ですが、とりあえずぼくらはそういった言葉はふだん使っておりません。似たような言葉もないです。
なので、当たり前のように「これは確率機ですか?」と訊かれると、「確率機って何ですか?」としか答えられんのです。質問に質問で返すなー、と怒られるやつですね。仕方ないんすよ、質問が不完全なんだからさー。もっと接客スキルが高い方は、意図を汲み取って返答できるのでしょうけどね。無理ですごめんなさい。
確率機って言葉、なんでしょうね?たぶん、「景品のゲームで、○○回遊ぶまではロックがかかっており絶対景品の獲得ができない」みたいなイメージで使ってるんじゃないかと思います。
大阪かどっかで、機械を改造してこの辺いじって、当たりが絶対出ないようにしていた……でしたっけ?それで摘発されただか何だか、って話もありましたね。
そんな言葉やイメージが先行して、「ゲーセンのプライズ(景品)ゲームは、一定回数をプレイしないと景品が獲得できない」、転じて、「一定回数をプレイすれば景品は獲得できる(→パチスロやらソシャゲガチャの天井みたいなシステムがある)」という勘違いというか思い込みというか、そういうような?そんなカンジの?ふわ~っとしたイメージを抱いてたりする人がいたりいなかったり?するのではないでしょうか。
困るー。

店次第かも知れませんけど、少なくともうちの所はそういうのないです。
頑張ってスキルと運とプレイ回数を駆使しないと獲れません。惰性でお金だけ入れてても、無限にコイン投入音が鳴るだけですよ。まあおそろしい!
サイコロ振るような完全運ゲーではなく、ある程度のアクションパズルゲーというか、そういった要素が絡んできます。将棋ほど理詰めのパズルではないですが、物理的にモノがどう動くか、みたいな知識があるといろいろ役立ったりしそうです。
ゲーセンの景品にも、いわゆる転売の層がおりますが……完全に運ゲーだったらあの人たち稼げないですからね。いろんなスキルを使って安い元手で仕入れて、転売に励んでおる訳です。そこにはゲームの技量である場合もあれば、難易度の目利きである場合もあれば、店員に絡……会話などのスキルだったりする場合もあります。やめて。

あとですね、
ここ数年でわりと幅を利かせている「三本爪」タイプのクレーンゲーム。
すみっこに景品落下口があって、中央にある景品を三本のツメで掴み、なんとか穴に落とそう!というタイプ。
シンプルで分かりやすいから遊びやすいのですが、あれはあれで難易度が高いのです。遊ぶ側も、設定する側も。
単純な話、いわゆる「パワーが強い」ならば景品がっつり掴んで持ち上げて落下口まで運び、景品ゲットです。おお簡単。
100円だか200円だかで景品が取れてしまうようだと、流石にお商売になりません。なので景品がうまい棒の山積みとか、そんなん原価抑え目の景品になるのが関の山です。
でもあのタイプの三本爪、でかい機械だと中に大きなサイズのぬいぐるみとか入ってます。あんなんで商売しようというのだから、ある程度のプレイ料金は確かに欲しいわけなのです。
トイザらすとか行けば、どのくらいの大きさのぬいぐるみがお幾らくらいなのか分かると思います。結構お高いのです。

そこでアレに行き着くんですよね、「天井」システム。
一応ゲームやってる感は出しつつ、でも規定金額までは絶対に取れない。運よくその金額を超えた人は、パワーがMAXになって重い景品もぐわー持ち上げてゲットだぜやったね!
それがまあ、分かりやすい「確率機」のイメージなんでしょうね。実際にこういう設定にしようと思えば、やれるとは思うんですよ。遊べる自動販売機。
プレイ回数によってフラグが入る機種はあります。何ができるかはゲーム次第、機種次第です。
昔のゲームはそういうの多かったんです。あの往年の「ジャンケンマン」が分かる方はそれ思い出してくれればいいのですが、あの辺とか、当たり前だけど完全な運ゲーじゃないんですよね。当たりの確率を設定して、それに応じて結果が操作される。どう転んでも胴元は負ける訳ないんですよ、長期的には。
あー、そういうイメージなんですね「確率機」って。なるほど、自分で書いてて納得したわ。
先に書きましたが、昔はそういうゲーム多かった気がします。フラグ入るまでは結果が調整されるんですよね。
ほんでそれ(規定料金)を超えると、ここから先は技量や運だから頑張れ!みたいなカンジ。
あれはあれでまあ、楽しめるものだとは思うのですが。今のご時勢、ああいうのは敬遠されがちな気がするんですよね。ネットで検証されたりしますからね。ボタンを押すタイミングと機械ギミックの停止タイミングが一定ではない!?超スローで確認してみた!みたいなね。できそうだもんね。もうやってるのかな。
クレーンゲーム設定知識のある方がいない、スーパー銭湯なんかに置いてあるゲームなら、それでいいと思うのです。そういう奴の方がお手軽に運営できるんです。ある意味公平ですし。
そういう訳なので、そういうのを嫌ってか、最近はそういう「フラグでロック解除」みたいなプライズゲームはそんなに多くはない気がするのですよ?

最近そういう系統のは「アシスト」とか「サポート」とか呼ばれる事があって、あんまり難しくなりすぎないように、たまに難易度をサポートしてくれるよ、みたいな機能が搭載されてたりする場合があります。ないのもあります。
一時期のプライズは上級者や転売の人に難易度を合わせすぎて、ド初心者やお子ちゃんがまったく遊べなかったりしてしまう弊害が発生していたんですね。今もかな。
そういった「ハードモード」な設定でも、ライトユーザーの方が景品が獲得できるようにお手伝いします!が、本来のアシスト・サポートの使い方かと思います。
また、店側もうまく使えれば難易度と経営とユーザーの満足感を適度に調整できるカンジになるので、あれはあれでいいものなのです。うまく使えればね。

極端に残念な使い方をしてしまうと、「設定上無理ゲーだけど、たまに運よく(あるいは天井で)クリアできるよ、目当てのものが手に入るよ!」というゲームを生み出してしまう事ができます。
実に残念です。

もっと残念なパターンだと、「設定上無理ゲーだし、クリアもできない」というね。ゲームの皮を被った集金装置ですね。これは案件です。紙面です。

スーパー銭湯とかのゲームコーナーにあるようなのはともかく(スパ銭の設定が雑とか、これも偏見ですけどね)、プライズ担当がきっちりいるようなゲームセンターであれば、そんな「基本ロックかかってて、フラグ入った時だけゲット可」みたいなク……残念設定にはしないと思うんですよね。個人経営とかのお店ならともかく。
掴んで持ち上げる以外にもいろいろ狙い方あるのですよ?とある大石浩二先生というマンガ家さんも作中で紹介してましたし、それこそちゃんと景品の取り方教えてるユーチューバーさんもいるんじゃないですかね?ぼくユーチューバーとか10組程度しか知りませんけども。結構多いな。

あと、あれだ。「これ取れるんですか?」もたまに訊かれますね。これは別の話題なので、これはまた今度にしますけど。
ゲーセンは景品を取らせない為に経営してるんじゃないですぞ。上に書いたけど、技量か運かプレイ回数(=金銭)が要るのです。スペランカーだってマリオ2だって魔界村だってクリアできるんですぞ。「そういうゲーム」なだけなんです。
例えが古いのは許して。

というわけで、ゲーセンの景品がどうしても欲しいなら、なんとか頑張ってください。できる限り応援はしたいと思っているのです。
どうしても(予算や時間、技量などの関係で)無理そうなら、転売の人から買う方が早いのは確かです。イライラしたり後悔したりするくらいならそちらの方がよいです、たぶん。ゲームだからねぇ。小売店じゃないのです。すみません。よろしくお願いいたします。

まあ、最近の時流にちょっと添えてない気がするのもわからんではないのですよ。
「連続プレイで天井システム!」とかいう機種出したらいいかも知んないっすね。
どうすかねメーカーさん。法的に大丈夫かどうかとかは知らないです。どう?

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